00

白い雪が優しく肩を撫でる日
道行く人々はどこか楽し気な表情をしている
こんな日はふと思い出す
目を覚ますと兄と私の枕元に毎年必ず三つの贈り物が置いてあった
中身は決まって同じような物
一つは子供が読むには少々難しい本
もう一つは何だかよく分からない物
そしてもう一つは幼い子供が喜ぶ様な玩具
贈り主が誰なのかすぐに分かったが、玩具だけは見当が付かずに兄とよく首を傾げた
数年経つと玩具が消え、また数年経つと本が消えて、最後に二人の枕元には何も置かれなくなった
懐かしい思い出につい足を止める
「どうしたの?おかあさん?」
不思議そうに少女が私を見詰めていた
「あのな、そう言えばパン買うの忘れたわ」
少女は無邪気に笑い返す
「おかあさん、いつも何かわすれるね!!」


時折寂しさを感じるが、握られた小さな手の温かさが今では何よりも大切な贈り物だ

Merry Christmas🎅

SHORT STORY