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SKYRIMの自キャラ妄想保管庫
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「ナジル、何か仕事はある?」
薄暗い洞窟の中に、絹糸のように細く澄んだ声が響く
照明の代わりに置かれている炉が、その声の主である黒髪碧眼のノルドの白肌をゆっくりと照らした

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「ああ、ヴィオラか。そうだな……では……これはどうだ?」
紅い外套を纏ったレッドガードの男が、懐から一枚の紙を取り出してヴィオラへ差し出す
ヴィオラは暫し無言で紙切れを眺め、ナジルの手へとそれを戻した後に背を向け軽く手を振った
「イスヴァルテッドのナルフィ……ね。これでいいわ。ありがとう」
いつもの様にその背中にナジルが言葉を投げかける
「健闘を祈る」


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”世界のノド“と呼ばれる、スカイリムで最も高い山の麓にある集落イスヴァルテッド
グレイビアードの拠点へと続く七千階段がある事で有名だが、若者達は近郊の大きな街であるリフテンへと移住してしまう為に、暮らす住民の大半が高齢者でもある
「ここでのんびり余生を過ごすのも、悪くは無さそうね」
どこか皮肉混じりにヴィオラは呟いて、リフテンへ向かう旅人を装いつつ、宿へと足を踏み入れる

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空いている席に腰を下ろして軽食と蜂蜜酒を頼み、運ばれてきた香ばしい匂いのリーキをフォークの先端で突いた
食事の合間に蜂蜜酒を少しずつ喉へと流し込み、悟られぬ様に客達の会話に耳を集中させる
そう時間が経たぬ間に、幸いにも今回の標的である男の話題が聞こえてきた
どうやら一年前に妹が行方知れずとなり、川を越えた小屋で一人孤独な日々を過ごしているらしい

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(妹……ね……)
ヴィオラの脳裏に、唯一の家族でもある最愛の妹の顔が浮かぶ
頬杖を付いたまま数回テーブルを指で叩き、何かを思い立ったように腰を上げて店を後にした


その足でヴィオラが向かったのは、一見廃屋にも見える>見窄らしい小さな小屋
(普段はこんな事……しないのだけれど……)

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同胞の中には、「殺しに来た」と声を掛けて反応を愉しむ者や、言葉巧みに色恋へと誘い込んだ後に始末する者もいる
対してヴィオラは標的とは基本的に言葉を交わすことは全くと言って良い程に無い……筈だったのだが


小屋の側には、空を見上げブツブツと独り言を呟いている男の姿があった
その様子から彼が “ナルフィ” である事を、ヴィオラは一目で理解する
辺りを警戒しつつも、出来うる限り優しい口調で男に声を投げ掛けた
「……どうかしたのかしら?」
少し驚いた素振りを見せつつ、男がヴィオラへと振り返える

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「レイダが……消えてしまった……植物を集めに行って、戻ってこないんだ……みんなで探したが……見つからなかった」
そう口にした男の口元は悲痛と悔恨にゆるみ、その眼からは涙がこぼれ落ちた
「突然、いなくなってしまったのね?」
ヴィオラが言葉を返すと、男は子供の様にコクコクと頷く
「父にも母にもお別れを言う事が出来た。だが、レイダは突然消えた。ナルフィはお別れをいう事も出来なかった……ナルフィはとても落ち込んでる。レイダにお別れを……言えないからだ」
口元に手を当てて少し唸った後、ヴィオラは男に尋ねる
「ナルフィ、レイダが植物を集めていたのは、どの辺りか分かるかしら?」



「まったく……私は一体、何をしてるのかしらね」
集落の東に流れる川の中で、溜息交じりにヴィオラは吐き出した

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これから命を奪おうとしている男の為に、何故こんな事をしているのだろうか
決して男に同情した訳では無い
しかし、どうしても自身の姿と重ね合わせてしまい、ヴィオラの心の奥がざわめく
もし妹を失う日が来てしまったら、考えたくも無い未来がヴィオラの頭を過ぎる
(こんなの、見つけられる保証なんてどこにも無いのに……ん?)
一瞬、水中で光る “それ” をヴィオラは見逃さなかった
(魚…ではなさそうね……濡れてしまうけど……仕方ない……か)
その身を水中へと滑らせて目を凝らし辺りを見回す
(確かこの辺に……!!……あれは……)
ヴィオラの目に飛び込んできたのは、ネックレスを身につけた白骨だった

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少し重い足取りでヴィオラは先程の小屋の主である男の元へと向かう
「ナルフィ、これ……見た事あるかしら?」
ヴィオラが手に乗せたネックレスを差し出した瞬間、男が目を見開いた
「レイダ!!レイダを見たのか!?ナルフィが泣いてると伝えてくれたか?まだ、お別れを言ってないと伝えてくれたのか!?」

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興奮混じりに、そしてどこか期待を含んだ眼差しで男がネックレスを手に取る
ヴィオラは視線を逸らして、少し俯きながら男に告げた
「ナルフィ……残念だけど、もう彼女は……レイダは、死んでいたわ」
その言葉を聞いた男が、ガクリと膝を落として嗚咽を上げる
「何てことだあぁ……信じられない……ナルフィはお別れを言えないのか……これでひとりぼっちだぁ……ナルフィは寂しい……レイダに会いたい……眠れない、眠れないんだぁ……」

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この世の終わりの様に泣き続ける男を黙って見下ろしながら、ヴィオラは指先を腰の短剣へと滑らせる
「……ひとつだけ、眠れる方法を、私は良く知っているわ。ナルフィ」
その言葉に反応した男が顔を上げた刹那、辺り一面が夕陽と共に緋く染まった
ゴトリ、と音を立て、首から鮮血を噴出しながら男の頭が地面へと沈み血溜まりを作っていく

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「レイダの元へは逝かせてあげられないけど……」
手早く短剣に付いた血液を布切れで拭いながら、物言わぬ姿の男に言葉を投げかける
(私が貴方だったら、きっと……最期は自分の手でこうすると思うのよ)

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両親が殺された “あの夜” から、自身の全てを妹に捧げてきたヴィオラにとっては、妹の居ない世界には何の未練もないのだ

それは太陽に照らされる事で輝ける月の様に



以前動画撮ってた時のお話から……
うーん、うーんと唸りながら3ヶ月掛かって何とか形になった様な気がします
漫画のネームは何度か作った事はあるのですが、文章となると難しいですね本当……
レイダは姉か妹か分からなかったので、取り敢えず妹表記で( ˙꒳​˙  )

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